C.A.P.10th-証言:木村たけし

金沢21世紀美術館プログラム・コーディネーター、造形遊び作家

1972年岡山市生まれ。1997年に岡山大学大学院(美術史)修了後、大阪で「こどものための博物館 キッズプラザ大阪」に勤務しアート&サイエンスのワークショップを運営する。C.A.P.には1997年から参加。「CAPHOUSE」の行事「キッズ・アート・スタディ」「アート林間学校」などで子ども向けワークショップを展開する。2000年より金沢21世紀美術館建設事務局に勤務。各地に展開する体験型展覧会「メビウスの卵展」にも出品する。

1)CAPの活動に参加した当時のCAPの様子
 1997年の「アート・ポーレン」の前、週末の杉山さんのアトリエでのミーティングの後のパーティーで、毎回アーティストが入れ替わって行うプレゼンテーション。そこで感じたのは、皆さんの観る側としての「面白がり気質、楽しみ上手」でありました。あと新鮮だったのはパーティーのスタイル、ちょっとしたお洒落なフンイキの作り方。現在のCAPHOUSEでのパーティーより人数も少なく、場所も小さく、それで少し秘密めいた時間をみんなが楽しんでいたように感じます。(大学出て大阪に来たばかりの私には、舶来ピクルスの瓶とか野菜スティックのチーズクリームとか、盛りつける器もスイカ型だったりして、いちいち新鮮でした。)最初の頃、ミーティングには毎度恐る恐る参加していたのですが、あの場では「いろんな技やビジョンを持ったパワーいっぱいのオトナたち」が集まりながら、饒舌にせよ寡黙にせよ、みんな人当たりが柔らかかったことが印象的でした。。

2)CAPに参加した(メンバーになった)動機
 大阪での勤務先「キッズプラザ大阪」にワークショップのスタッフとして来ていた、マスダマキコさんにC.A.P.のことを紹介して頂いたのが始まりです。それが1997年の夏で、秋に神戸の旧外国人居留地の路上で「アート・ポーレン」というイベントをするというお話しだったのですが、ちょうど自分がワークショップ型の作品、来る人が何かとじっくり出会う作品を作りたいとぼんやり思っていたことと、そのイベントの構想が繋がるような気がして、勧められるままにミーティングに参加してみました。
 何日も旧居留地を歩き回って何をするか考えたのですが、歩くと凄く気持ちの良い青空に、震災復興工事のクレーンがニョキニョキ伸びている様子が日に日に変わっていく様子が印象的だったんですね。そこで「空の探偵セット」という、私が撮影した空の写真が居留地の何番地から撮影したものかを探すという、ゲーム形式の作品を出品しました。
 「アート・ポーレン」では、他の人の作品も、日頃の街の景色をちょっと変えるような仕掛けが、かえってその街特有の景色を浮き立たせるタイプのものが多かったんです。しかもすごく色々なアプローチの仕方があって。お客さんもいろんなタイプの「楽しみ上手」な人たちがいて。結局その時の経験からC.A.P.にそれからも関わろうと思うことになったし、その後の自分の活動を方向づけられる出会いになりました。