■インド映画にはまってしまった
11月2日(金)19:00〜20:30
ゲスト:松岡環(アジア映画研究者)
ホスト:Hiros(インド音楽演家)
参加費:当日1000円/予約900円(1ドリンク付き)

インドを中心に香港、東南アジアなどアジア全域の映画の研究と紹介に努めている松岡環さん。これまで『ムトゥ踊るマハラジャ』『ラジュー出世する』『ラガーン』等インド映画の字幕を多数担当してきました。ハリウッド映画のようなメジャー級の「ヒット」映画にではなく、なぜインド映画にはまってしまったのか。インド映画のどこに、どんな魅力があるのか、その制作現場はどうなっているのか。日本語字幕というのはどうやって作られるのか。アジアの映画はどんなプロセスで日本に紹介されるのか。そして、今やIT大国として躍進しつつあるインド映画はこれからどうなっていくのか。インドのみならずアジア全域の映画に関わってきた彼女の経験と発見を知ることで、映画という表現のアジア的多様性を概観したい。…Hiros

《ゲスト》松岡環(アジア映画研究者)  ※写真:左
アジア映画研究者。1949年生まれ。大阪外国語大学インド・パキスタン語科卒業。1976年よりインド映画の紹介を始め、インド映画祭を何度か開催。現在はインドを中心に香港、東南アジアなどアジア全域の映画の研究と紹介に努めている。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。『ムトゥ踊るマハラジャ』『ラジュー出世する』『ラガーン』等インド映画の字幕も多数担当。また、1978年から友人と共にミニコミ誌『インド通信』も発行している。著書に『アジア・映画の都』(めこん、1997)。 


《ホスト》Hiros(インド音楽演奏家)http://sound.jp/tengaku/
C.A.P.の設立に深く関係するアクト・コウベの代表。'95年のCAPARTY vol.1より活動に参加しているが、正式にメンバーになったのは'03年から。インドの横笛バーンスリーの奏者であり、日本のインド音楽理論の第一人者である。CAP HOUSEでコンサートも数回行っている。
時折CAP HOUSEにやってくるやすぐさま厨房に立ち、スパイスのきいたカレーやその他美味しいものを出身地の山形弁でお喋りしながら手際よく調理する様子を見て、”山形から来たカレーのおじさん”と思う若いメンバーも多数いる。

■インド映画にはまってしまった

 思いのほかたくさんの人たちが集まって松岡さんの話を熱心に聞いて下さり、ホストとしての役目をきちんと果たせたのではないかと思います。赤穂生まれの松岡さんがお母さんに連れられてよく映画を見にいかれて歌あり映画嗜好の素地が育まれたこと、外大で専攻したヒンディー語から歌あり踊りありのインド映画に一気にはまり現在の仕事につながっていったこと、などなどの個人的なお話が面白かった。また、インド娯楽映画が、ラブロマンス、コメディー、お涙ちょうだい、アクション、スリル、サスペンス、憎悪、復讐、ハッピーエンドといったてんこ盛りの幕の内弁当方式から、それぞれに特化した単品弁当方式に変わってきたこと、最近の映画の歌、踊り、テーマがあまりに現代的になってしまった結果田舎でも受ける方言映画が増えてきたこと、上映時間が長過ぎて日本の映画館ではなかなか取り上げてくれないこと、インド文化に精通していないと字幕翻訳が難しいことなど、インド映画を取り巻く状況がよく分かったのでありました。30分近い最近の映画の宣伝映像も新鮮でしたが、たまげたのは松岡さんの映画記憶力。専門家だといってしまえばそれまでですけど、あらすじ、俳優、監督、製作周辺事情などをどうしてあんなに覚えていられるんだろう。
《ホスト》Hiros