Y3と私 #55

 

今朝は、珍しく、湾岸の煙突から黒い煙がたなびいていました。

 

そして朝日が昇っていきます。細い飛行機雲が、朝日を浴びて金色に輝いていました。まるで、金色の糸で、空と雲を縫い合わせたみたいでした。

 

 

 

 

今日は、朝一番から、陶芸窯で素焼き焼成です。担当者の柴山さんは初めての焼成。念入りに段取りをチェックしていました。講習会でのレクチャーの覚書や、今までのデータなどが書かれたノートを広げて入念に復習しています。とても真面目で緻密な柴山さんでした。

 

 

 

今日のランチは割と賑やかでした。この前の大新年会のことや、陶芸のことや、成人式のことや、いろいろなことを話しましたね。朝のテレビドラマのこともチラッと話が出て、芸術家同士の夫婦は上手くいかないのだろうか、とか、「才能」がある人と、そうではない人との夫婦は上手くいかないだろうか、という意見もチラッと出ましたが、僕は、そんなことは関係ないように思います。

「芸術」というと何か特別なことのように思われがちですが、医者、科学者、農家、教員、学者、八百屋、飲食、金融、経営、美容師、作家、漫画家など、同業者同士の夫婦は他にもたくさんあります、夫婦の間の様々な問題は、それぞれの人間性によるものとかいろいろで、職業とは、あまり関係ないように思います。

また、特に日本人は「才能」とか「天才」とかいう言葉が好きなように思いますが、僕は「天才」なんていないのではないかなあ、と思っています。才能らしきものがある人はいると思いますが、そういう人達が良い作品を作ったり成功したりするわけではないし、物を作る上で大事なことは、才能よりも、明快な意識だと思っています。そして何よりも、自分のやりたい事を「続ける」力だと思います。

報酬や見返りや、何かのためではなく、ただ、自分の好きなことに没頭して追求し続けることがとても大事なことのように思うし、それはとても大変なことです。続けていくためには、素直さや柔軟さや自由さも必要だし、運を呼び込む力も必要です。「あの人は天才だからかなわない」と言ってしまうのは、努力をやめた人の言い訳のように思ったりもします。でも、ほんとに続けている人は、「努力」だとも思っていないと思いますが・・。

 

 

ランチが終わると、それぞれの制作や仕事へと向かいます。

今日も集中してロクロ成型をするClay Studioのメンバーの方々です。大きな壺や、大きな傘入れを作る人や、半磁土で成型する人etc・・。

 

 

 

築山さんは、今日も黙々と、大ノコギリで木を切っていました。ヒノキの良い香りが工房中に立ち込めていて、なんだか、のんびりした気持ちになっていきました。

上村亮太