〈3回連続コース〉

1|「具体」再考 

阪神地区で活動した戦後日本の前衛芸術集団を代表する「具体」について様々な観点から考察する連続講座。
今年は 1970年の大阪万博についての考察や「具体」をダンサーの視点から捉え研究する岡登志子さんを講師に、座学を越えた特殊講義を開講します。
講師と一緒に展覧会鑑賞や現地を訪ねるARTSの遠足、岡さん考案による身体を通じて「具体」を感じるためのレクチャー&パフォーマンス、ワークショップなど実験的な講座により、体験を含んだ学びを試みます。

1-① 特殊講義1
「具体」と万博-その光と影ー:第1部 大阪万博での展示と「具体美術まつり」+ARTSの遠足@芦屋の「具体」ゆかりの地+芦屋市立美術博物館

日時:2025年8月24日㈰ 11:45〜16:30 JR芦屋駅集合
講師:平井章一(関西大学文学部教授)
集合場所:JR芦屋駅 ​

1-②
「具体」と万博-その光と影ー:第2部 「具体」にとって大阪万博とは

日時:2025年9月5日㈮ 19:00〜20:30​
講師:平井章一(関西大学文学部教授) ​
会場:BARまどゐ (神戸市中央区山本通2-3-12 まなびと北野基地1階​)

【講座内容1-①②】

今年は大阪で55年ぶりに万博が開かれています。前回の1970年の大阪万博では、高度経済成長時代を背景に、テクノロジーに支えられた便利で豊かな近未来像が提示され、その具現化に多くの美術家が参画しました。地元関西で新しい美術を切り開いてきた具体美術協会(「具体」)もまた、意地を見せるかのように、パビリオンでの展覧会だけでなく、太陽の塔の裏側にあった「お祭り広場」で壮大なイベントを開催しています。「具体」は、このあとまもなくしてリーダーの吉原治良の急死により解散しますので、大阪万博は結果的に「具体」の活動のフィナーレを飾る場となりました。

第1部では、そうした展覧会やイベントを記録写真、映像などで仔細に検証し、「具体」が大阪万博で表現しようとしたものとは何だったのかを振り返ります。一方で、当時の美術家がもろ手を挙げて大阪万博に賛同したわけではありませんでした。時は学生運動まっさかり。若い美術家たちを中心に、国家主導の近未来のイメージづくりに美術家が加担することへの反対運動があり、「具体」のなかにも彼らの意見に密かに共鳴するメンバーがいました。また、それまで経験したことのない規模の展覧会やイベントは、「具体」の基盤をゆるがす問題ももたらしています。

第2部では、これら語られてこなかった大阪万博の「影」の部分に目を向け、光と影を併せ見ることにより、「具体」というグループの本質について考えてみたいと思います。

*1-①はARTS STUDY2025スタート講座です。JR芦屋駅に集合し、講師と一緒に「具体」ゆかりの地である芦屋川周辺を散歩、案内後、美術館にて「具体美術協会と芦屋、その後」展の展覧会鑑賞と展覧会担当学芸員によるギャラリートーク、レクチャールームで講師による講座を開催します。

1-③ 特殊講義2
やってみるからはじめよう―「具体」の創造精神に触れる
レクチャー&パフォーマンス+ワークショップ​

日時:2025年12月28日㈰ 13:00〜16:30
講師:岡登志子(ダンサー/振付家/アンサンブル・ゾネ主宰)、平井章一(関西大学文学部教授)​
共催:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
協力:アンサンブルゾネ、AAP(アシヤ・アート・プロジェクト)、Marching KOBE ​
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸 1階 KIITOホール​(兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4)

【講座内容1-③】

ダンサーの岡登志子さんは「具体」について強い関心を持つダンサーです。
岡さんは美術家が身体を使って創造を高めた経緯に関心があると言います。ダンサーとしてレクチャー&パフォーマンスの試みが「具体」だからこそできるのではないかと考えました。今回は岡さんより平井先生にお声がけし、特殊講義が企画されました。

第1部は平井先生をレクチャー講師として迎え、岡さんとアンサンブル・ゾネがパフォーマンスを担当します。

第2部は参加者体験型のワークショップを行います。ことばと身体、体験を通じて「具体」の創造精神に触れる三位一体の講座です。

【講師紹介】

講師:平井章一(関西大学文学部教授)

関西大学大学院文学研究科博士課程前期課程修了。博士(文学)。
兵庫県立近代美術館学芸員(1988~2002年)、兵庫県立美術館学芸員(2002~06年)、国立新美術館主任研究員(2006~12年)、京都国立近代美術館主任研究員(2012~18年)を経て、2018年から現職。この間に企画した展覧会として、「関西の美術1950’s〜1970’s」(兵庫県立近代美術館、1994年)、「震災と美術-1.17から生まれたもの」(兵庫県立近代美術館、2000年)、「『具体』回顧展」(兵庫県立美術館、2004年)、「『具体』-ニッポンの前衛18年の軌跡」(国立新美術館、2012年)、「あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術」(京都国立近代美術館、2016年)など。また、著書に『「具体」って何だ?』(美術出版社、2004年)などがある。​


講師:岡登志子(ダンサー/振付家、アンサンブル・ゾネ主宰)

ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州立フォルクヴァンク芸術大学舞踊科卒業。1993年より神戸を拠点にドイツで習得したダンスメソッドを実践しながら、現代を生きる人間に共通する身体を通し、人間の実存を問う作品づくりを行っている。
ASHIYA ART PROJECT副実行委員長。
近作にピアニスト高瀬アキとの共作「キッチン」。