〈3回連続コース〉
3|音楽
ARTS STUDY2024の音楽講座はアジア音楽とアメリカ実験音楽を通じて伝統的な西洋音楽を相対化する内容でした。
今年度はさらに遡って、音楽以前の「音」や「聴く」ということを紐解くことから始まり、音楽鑑賞を捉えなおす講座をアーティストの藤本由紀夫さんにお願いしました。本講座は藤本さんのスタジオで行ないます。
3-①
「聴覚について考える ー空間を聞く耳ー」
日時:2025年10月17日㈮ 19:00〜20:30
講師:藤本由紀夫(アーティスト)
会場:神戸旧居留地高砂ビル4階412号室
【講座内容】
視覚的には何もない空っぽの空間は、実は透明の空気の充満している空間なのである。
この空間の中で何らかの物質が振動を起こすと、その振動は空間に充満する空気を揺り動かし、天井や床や壁の形状や大きさや材質によってさらに複雑な波紋を作り出し、その波が耳に到達した時に「音を聞いた」と知覚するのである。音の体験にとっては、何もない「空き」の空間が重要な役割を持つ。
私たちの耳は何を聞いているのだろう?聴覚という身近な感覚を改めて考えてみる。
3-②
「Musurgia Universalis ーキルヒャーの音楽宇宙ー」
日時:2025年 11月 7日㈮ 19:00〜20:30
講師:藤本由紀夫(アーティスト)
会場:神戸旧居留地高砂ビル4階412号室
【講座内容】
アタナシウス・キルヒャー(Athanasius Kircher,1602-1680)は、17世紀のドイツ出身の学者でありイエズス会司祭である。
博覧強記の彼は広範な分野で多くの著作を残しているが、後年になってほぼ全否定された。しかし彼の好奇心に満ちた発想力はアートの世界でこそ再評価される存在である。その中でも1650年に出版した「Musurgia Universalis(普遍音楽)」は代表作の一つである。自動演奏装置や数学的な作曲法といった研究は今日に通ずる。彼の音楽的宇宙を眺めてみる。
3-③
「集中と拡散 ーシュトックハウゼンとケージー」
日時:2025年12月 5日㈮ 19:00〜20:30
講師:藤本由紀夫(アーティスト)
会場:神戸旧居留地高砂ビル4階412号室
【講座内容】
20世紀後半の音楽を代表する、カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen,1928-2007)とジョン・ケージ(John Cage,1912-1992)。一見対照的に見えながら、一致する点も多い二人。
どちらも自ら設定した数々の目標に向かって歩み続けた真摯な研究者であった。トータル・セリエリズム、電子音楽、チャンス・オペレーション等、2人が開発した手法は決して突飛なものではなく、20世紀という時代に則したものであった。彼等2人の音楽の特徴と魅力、そして今日的意味を考える。
【講師紹介】
講師:藤本由紀夫(アーティスト)
C.A.P.初代メンバー。70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンス、インスタレーションを行う。80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作を行う。空間を利用した独自のテクノロジーアートの世界を展開している。2001年には第49回ヴェネチア・ビエンナーレに日本館代表作家として参加。回転するガラス瓶の中の角砂糖が音を放つ《SugarⅠ》などを展示した。1997年からは西宮市大谷記念美術館で1年に1日のみ開かれる展覧会「美術館の遠足」を開催してきた(2006に終了)。
代表作に、54個のオルゴールが1音ずつ音を奏でる《STARS》(1990)、長い塩化ビニールのパイプを通して空間のなかの気配や振動を聴く《EARS WITH CHAIR》(2007)など。












