今日のC.A.P. その6

7月17日と18日

海の日だそうですね。あまりにもカレンダーの感覚が鈍ってしまっています、タニグチです。1日1にち大事に生活したいのになあと思うばかりです。
さて。水を得た魚の勢いでC.A.P.にやってきているわたしですが、17日と18日はまとめてひとつの日記にすることにします。毎日毎日書くことがあっておもしろい限り…

八木さんのスタジオビジット、の1時間前

今日は所用があって八木さんのスタジオビジットに居合わせることができない。かなしい。のでせめてもと4階に行ってみる。15日のリベンジである。行くとマスダマキコさんがいらっしゃって何やら八木さんとお話をしてらした。それにしても作品の数に圧倒される。ほとんどすべてが白黒の作品だ。

4階 八木さんの作品たち 個展状態

八木さんといえば「描くべきときまで作品を製作途中のまま保管しておく」作家さんだ。そのためこれほどまでの点数の作品が残っているのだろう。あまりお話したことがないので、ぺこりと挨拶する。気難しい方なのだろうかと思っていたが、かなり饒舌に喋ってくれた。マスダさんとお話を聞く。
写真の右側に写っている大きめのキャンバス2点には親指大くらいくらいの顔が所狭しと描かれている。最下部に立つ人間の首から、煙が頭上に広がるみたいに無数の顔が広がっているのだ。本当は3枚の連作らしく、そのうちの2枚しか手がついていないそうだ。白黒灰色で雲が渦巻いているような陰影を作った上から、黒い線で顔の輪郭をひとつずつ積み上げている。

「ここのね、黄色い部分があるでしょう。ここは下地なんですよ。まだできていない部分なんです。」

指さされた部分にはたしかに黄色い絵具が残っている。モノトーンの陰影を作る前にあらかじめ塗ってあったものだ。他の作品にも不完全な部分が見て取れる。わたしは八木さんの部屋のドアに書かれている八木さんのプロフィールを思い出す。たくさんの作品を長い間眠らせている話。ずっと気になっていたことがあったのだ。

「八木さんはご自身が描いた作品をすべて覚えていられるのですか」

絵画を眠らせているうちにその絵画をどうするつもりだったのか―色や構図を覚えていられるのか、という意味合いよりも「その作品の存在自体を覚えていられるのか」ということだ。八木さんは「いやあそんなもん忘れているのだってたくさんありますよ」と答えた。
「今回スタジオビジットのために引っ張り出したらそういやこんなのも描いてたなあって思い出してね。いい機会でしたよ」
そういう話をしているうちにマスダさんがある作品の前に寄っていって言った。

「これ。これすごいですよね」

その作品はわたしも気になっていた作品だった。人間が机に伏せっているのを上から眺めた構図の絵だ。

八木さんが18歳か19歳のときの作品

着ているのは白いパーカーだろうか、フードが寄れて首の後ろから肩にかけてわだかまっている。その皺や陰影が少し青みを帯びた色彩で丁寧に描かれている。テーブルについた手、首筋、横顔から耳の肌も「絵」であるのにどこかアナログな手触りを感じさせる。精巧だから「触れそう」というわけではないのにその真っ暗な空間にその肌があるように思う。構図の力も大きく、なんとも言葉にするのが難しい気持ちにさせられる絵だと思う。人間の上に描かれた「La Mort」はフランス語で「死」や「死神」を指すらしい。後で調べた。

「この頃はシュールレアリスムの真似事みたいな絵ばっか描いていてね。その後自分にしか描けない絵を描こうとしたら、なんだ自分はぜんぜんだめじゃあないかと思うようになったんですよ。この絵もまだまだですね」

20歳手前でこんな絵を描いていて、納得しない八木さん。マスダさんと「えー-」と言いながら「ここがすごい」「これどうなってるの」と盛り上がる。そのすべてに八木さんは反応しつつ、たぶん半分くらいは何かをのらりくらりと躱していた。不思議な人である。

築山さんとお留守番

今日は18日。なんと事務所の事務要員は築山さんしかいない。これは珍しい。
たかはしさんは夏休み。シモダさんは大学での授業に会議にとお外でお仕事。というわけで。
築山さんとわたしでお留守番している。いつもおふたりが座っているデスクが空っぽなんて、、、少しさみしい。

築山さんも今日は事務仕事を朝からカタカタ。アート林間学校の参加応募のGoogleフォーム管理に奮闘中。わたしもお手伝いしたいところだが何分あまり事務についてはわからないのです…。不甲斐ない…。でも!今日は!

「もし電話が鳴って、誰も取れなかったら出てほしいかも」

とたかはしさんに言われていたので、prrrrrと鳴った暁にはわたしが子機を取ろうじゃないか!という強い気持ちでこの日記を作成している(笑)。そして今のところ電話は一度も鳴っていない。6月まで音楽スタジオの店員として働いていたので電話応対の経験は腐るほどある。だからこそ電話を取ったときにスタジオの名前を言ってしまいそうでこわい。初めて電話を取るまでは…と一言め(予定)を頭の中で繰り返す。

「はい、C.A.P.です」

ちょっと電話が待ち遠しい、ような気がする。

ヒルト―――――ク 檸檬の味編

手短に書きますが、今日のお昼ご飯トークではあまずっぺー話が聞けました。楽しかったです。
たぶんC.A.P.に来てからいちばん笑わせてもらいました。ああお腹いたい。
すごくほんとはいろいろ書きたいのですが、釘を刺されたのでこれにてご免…
アート林間学校の宣伝をするべくTwitterに舞い戻ることにします。

暑いですがみなさまもお身体にはくれぐれもお気をつけて。