今日のC.A.P. その15 暖房は20℃を守りたい。

12月11日
タニグチです。今日は盛りだくさんの日記です。冬って季節自体が割とイベントてんこ盛りな季節だからかもしれないですが、C.A.P.のイベントも最近目白押し。C.A.P.で起こるおもしろいことも目白押し。総じてめまぐるし。「目白押し」と書くとメジロがおしくらまんじゅうしている様子を思い浮かべますが、現実ではみたことがないですね…見てみたいものです。

告知がいっぱい冬のC.A.P.

告知① 「海外移住と文化の交流センター」のYouTubeチャンネルができました!
 こちらはこちらからチェックできます! (4) 海外移住と文化の交流センター – YouTube 
 C.A.P.が居を構える「海外移住と文化の交流センター」のYouTubeチャンネルがキックオフを終え正式にオープン。
 C.A.P.だけでなくCBKについて、センター全体について、ひいてはアートや移住・移民についても様々な内容の動画がアップロードされる予定だ。このYouTubeチャンネルのことを日記に書くにあたり、我らがボス・シモダさんに「なんてPRしましょ」と聞いた。するとかなり考えさせられる返答があった。

「このチャンネルがハブみたいな存在になって、もっとこのセンターがパブリックな場所になるといいな~って思ってるんだよね」

ただ宣伝するような方向の動画をつくるのではなく、それより一段階高次元を目指す。つまり、センターにやってくる人が・関わりのある人がそれぞれの関わり方を発信する「場」になることを目指しているのだ。実際、現在チャンネルにアップされている動画は神戸大学の学生が自身の興味の赴くままに作った動画である。まさに彼らなりの関わり方を発信しているのにすぎない。
「もはやセンターに来なくてもいいんだよ、たとえばブラジルに行った移民の人たちが動画あげちゃったりなんかしてもいいし」

そう。地続きの場所に従属するコミュニティではなく、このチャンネルを母体とした新しいコミュニティの形を模索している!それが一番しっくりくる言葉だとわたしは思った。

そんなわけで、センターに関する動画を作ることに興味がある方!シモダさんまでご連絡ください!お待ちしております~。

告知② タカラゴミ―やるよ!17日です!
 築山さん主催?のタカラゴミーが17日土曜日、Nature Studioに上陸!
 12月17日(土)10時から16時の「自然と暮らすマーケット」に参加するそうだ。詳細はNature Studioのホームページ(自然と暮らすマーケット / 2022年12月 – NATURE STUDIO)をご覧ください。
 築山さん曰く今回の出品物は「Nature」 Studioに寄せてる!とのこと。一足先に出品予定のモノを見せてもらったのですが…みなさんは何かわかりますか…?「『神の粉』言うて売ろかな」と築山さんの一言を添えておきますね…

神の粉 

告知③ ワークショップルームでベビーリーフを育てています!
 たかはしさん、わたしがいるときはよく事務所のこちらの植物たちに水をやっている。

 もはやその光景は「日常」と化しているし、ただ水をやっているようにも見えない。しっかり植物ちゃんたちのお世話をしてめんどうをみている。よしよし~、と声をかけていることもしばしばだ。そんな植物たちにさらなる仲間が増えたニュースである。
 最近ワークショップルーム奥の窓際でベビーリーフを育て始めたのだ。芽が出てから猛スピードですくすく育っており、わたしも休憩がてら様子を確認したりしている。かわいい。スタジオに来た際、みなさんも覗いてみてはいかがでしょう…!

ベビーリーフ。みんなで見守りましょう

ワタナベモモコちゃんと喋ってみた 

ワタナベモモコ。彼女に会うのは2回目だ。たぶん。その初めて会ったときはLibraryで踊っているのを少し見る程度だったけれど、今回は割と長く・面と向かって話せた。というか、話してみたかったからちょっとがんばって話してみた。なんでもモモコはこの1年間0円の生活―お金を介さない生活を試みていたらしい。それはあまりにおもしろそうすぎる。どういうふうに過ごしていたのか聞いてみた。

ワークショップの準備をするモモコ

モモコは「カラー失敗しました~」の言葉と共にC.A.P.にやってきた。金髪のウルフカットの前髪と襟足には蛍光ピンクのカラー。かなり派手な髪型だ。彼女はスタジオY3で0円生活のワークショップを開催するためにC.A.P.に来ていた。そのピンクきれいだよ、と言うたかはしさんに「前はもっと『素敵な』ピンクだったんですよ」と返すモモコ。この時点でわたしは、なんとなくモモコのことがすごく気になった。しかし性格が基本的にチキンなので、なかなか彼女に話しかけることができない。お弁当を食べている間も話しかけられなかった(意外と緊張しいなのです)。でもせっかくの機会だしな…と腹にカタマリを抱えながら彼女がスライドの準備をしているところに歩いて行ってみる。

「スライド準備してるの?」
モモコは「いや、ぜんぜんできてないから今作ってる」と答えて笑った。
「そかあ」相槌を打ちつつ、自己紹介を詳しめにしてご挨拶。わたしたちは同い歳。ふたりとも21歳だった。モモコは「モモコって呼んでいいよ~」と言ってくれた。だから文面ではモモコって書くことにする。

「モモコちゃんは何しててこうなったの?」割と直球な聞き方に我ながら突っ込む。おい。
「なんかわたし、漂流物みたいなかんじなんだよねー」

「気づいてたらこうなってた、みたいな。漂流してるの」

もともと神戸市内の高校に通い、そのあとは農業学校へ。それから神戸に戻ってきて0円生活を始めたそうだ。
「したかったんだよね、お金使わない生活。」
「どうして?」

どうして、というわたしの言葉に彼女は黒縁メガネの向こうで目をくるっと回した。
「どうして、どうして、かあ」
したかった、以外の内容を言語化しようとしているらしかった。

「お金って『稼がなくても』良くない?って思ったっていうか。そのときそのとき生きていける最低限でよくないかな~って思ったんだよね。一生稼ぐっていうのの意味がわかんなくなったって感じ」
「お金を使い続けなくちゃいけないのかなー?って思ったからお金なくても生きていけるか気になって~」

なるほど。稼ぐのはお金を使うためなのか?それともお金を使うために稼ぐのか。その行為どっちにも疑問が湧いたってことなのだろう。うーん。周りが就活にいそしみ始めているわたしにも刺さる話だった。

「ダンスはいつ始めたの?」
わたしが初めてモモコに会ったときはモモコは踊っていたのだ。狭いC.A.P.Libraryで。ダンスというよりかは、ネオ・ダンス的なものだとわたしは思ったけれど。後ろに流れる音楽もなければ、観客を気にする素振りもない。わたしたちは事務所デスクのあるエリアからLibraryのドアの穴越しに彼女を見ていた。つまり、いつもはドアで塞がっているはずの四角い穴からしか踊っているところを確認できないのだ。モモコが部屋を動きながら横移動しているのが見えるときもあれば、そもそも姿を見れないときだってある。おもしろい。だからかモモコの動きは本当に内側からでてきたものが純な状態で放たれているように感じられる。前の携帯に動画が残っている。

「あいや、0円生活やってる途中だよダンスは」

あらま、これはこれは。たしかにモモコは「漂流物」なのかもしれない。やりたいと思ったらやる。それがどんなことだとしても。わたしたちが実は心の底から煩わしいと思っている社会のしがらみを蹴飛ばして、その瞬間に身体が動いている。それがモモコという生物のようだ。となると、どうしてどうやってC.A.P.と関わりを持ったのか気になった。

「田岡さんと自転車屋で会って。モモコパンク魔だから、自転車屋でよくパンク直してもらってたの。で、田岡さんも自転車乗るから、会った。それで誘ってもらって、連れてきてもらった」

追記。「この生物(モモコ)は人との出会い運がすごい」。メモ。しかしそれでやってきたモモコを歓迎し、懐に入れるC.A.P.もおもしろい。C.A.P.は限りなく・どんな人にもオープンな存在だ。

モモコは作業しながら話をしてくれていた(ありがとう)。ちょうど画面に写っている写真を指さす。画面には黒いズボンがなぜか3枚写っていた。
「おにぎり屋さんで働くときに黒ズボンが必要だったんだけど、それももらってなんとかなったんだよ」
「近くの公園で掃除してたおじさんを手伝ったらその人が服屋の人で、同じの3枚もくれたんだ~」

実は稼がなくても人生やってけるんじゃない?わたしは頭の中に浮かんだ就活に苦しむ数人の友人の顔を思い浮かべた。彼らにこの話をしたらどんな反応をするだろうか。

しかしモモコという人間・生物の成せる技なのでは?とわたしの頭の中でもうひとりのわたしがそう言う。
いや、そうだ。120%そうだ。こんな出会ったばかりのわたしを呼び捨てにし、いつのまにか割と喋れるようになっちゃってるのはたぶんモモコの魔法のせいである。

うーんワークショップ自体に出れなかったのは残念で仕方ないが、わたしはモモコとインスタのアカウントを交換した。これからも会ったときにちょくちょく喋れると嬉しいな、と思った限りである。